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2014年秋。十勝視察旅行記(4)

前回はこちら
以下、過去記事。
(1) (2)

 1年くらい前にTVで知ったんだけど、十勝の食料自給率が凄くて(もしや有名な話?)、ご存知の通り日本の食料自給率はカロリーベースで約40%(この数字は異論もあるけど、一応前提として)。それが北海道だけに限ると、さすが日本の食糧供給基地と呼ばれるだけあって195%に跳ね上がる(日本の農地面積のうち25%は北海道らしい)。じゃぁ、それを十勝地方だけに限ったらどうなるか? これがなんと1100%!。北海道の農家は大規模経営が多いので1軒当たりの耕地面積は全国平均の24倍らしいのだけど、十勝は道内平均の更に2倍の379haになる。
 日本らしからぬ広大な平野に広がる農地で、何がどういう割合で生産されるのか全く知らないし、単純にカロリーベースの計算だけで経済を無視して“食べ物には困らないパラダイス”と言うつもりもないけど、とにかくそれだけ食糧を豊富に作ってる土地なのは間違いない訳で、この話って単に統計や数字上のことなんだけどやっぱり十勝の魅力を代弁している。これが僕ら夫婦が十勝に惹かれた理由の大きなポイントのひとつでもある。流行りの“地産地消”という言葉を出すまでも無く、僕らは単純に、安価(な筈)で新鮮な地元のものを美味しいうちに食べたいだけで、それを毎日“普通に”楽しみ暮らせる土地に住めたら幸せだと思っているので。

 その十勝でパッと思い浮かぶのは、酪農が盛んな地域であり乳製品が充実してるであろうこと。牛乳とかバターとかチーズとか。特にチーズは十勝産を期待していて、日高山脈寄りにある新得町には、国内はもとより本場欧州で数々の賞を取ったチーズを作っている工房もあるし、それ以外にも十勝管内にはいくつもチーズ工房があるらしい。…っと、チーズの話は翌日新得の工房(のショップ)に行ったので、そのときに。

 で、僕は以前、フランスやイタリア、スペインを旅行したときに羨ましかったのが、チーズの種類の豊富さや値段の安さもそうなんだけど、沢山の“サラミ”が市場や店で普通に売っていたこと。特に白カビに覆われたサラミを僕は気に入って、日本ではチーズ以上に高いし簡単に手に入りにくい白カビサラミを、誰か国内で安く作ってくれないかなぁ…と身勝手なイチ消費者として思っていた。で、今やチーズ工房がいくつもあり、畜産も盛んな十勝ならもしや?…と、旅行の前に調べてみると、これが存在していたという訳だ。
 “ランチョ・エルパソ”というブランド(店?)で“どろぶたサラミ”という商品。自分のところで放牧で飼育している豚を“どろぶた”と呼んでブランド化しているらしい。通販もある様だしデパートや道の駅等でも扱ってるみたいなんだけど、せっかく十勝に来たので、とりあえず“ランチョ・エルパソ”の店に行ってみた。

 雨はかなり小降りになっていて、ランチョ・エルパソに着いたときには車から十数m先の店舗まで傘が無くてもほとんど気にならなかった。
 ここは販売所では無く基本的にレストンランで、入り口は木製の扉で大きなウィンドウも無く店内の様子が見えず一瞬入るのを躊躇する。でも扉を開けると入り口付近でオリジナル商品を沢山並べて売っていた。売り場には他にお客さんが居なくて(レストランには居たが)店員の視線を背中に感じ、なんとなく店内の写真を撮りそびれたので、旅行から帰って来てから“どろぶた白カビサラミ”を食べたときの写真を↓(ちなみに紫色のヤツは十勝で買った紫色のじゃがいもを自分でスライスしてポテトチップにしてみたもの)。
どろぶた白カビサラミと紫ジャガイモのポテトチップ
 僕がフランスやイタリアで食べたことのあるものと比べると少し甘みのあるサラミだったけど、やはり濃厚な味わいで美味しかった。しかも安い。商品は小ぶりで細身だけど2本入りでこの価格(リンク先参照)はリーズナブルだと思う。白カビサラミを検索してみたら意外に国産モノは他にもあるらしいんだけど、放牧で育てられた豚から作られた白カビサラミが地元で手に入るなんて幸せな話だ。嫁さんと二人で嬉々として、サラミ以外にもいくつか土産を買った。
 さぁ、次。

 ところで、北海道で豊富に生産されているのに十勝ではほとんど作られて無い農作物がある。それは『お米』だ。北海道自体は新潟と1、2位を争うほどの米生産地なんだけど、十勝には基本的に水田は無い(管内では幕別町のみ。池田町と音更(おとふけ)町で“もち米”は作ってるらしい)。確かに4日間車でそれなりに走ったけど、水田らしき耕作地は一度も見なかった気がする。調べてみたら、道内の米生産エリアは日高山脈や大雪山より西側のいわゆる日本海側気候の雪が多い地域がメインだ。そちらと比べて太平洋・オホーツク海側は冬の気温がかなり下がるので(札幌の人ですら十勝の冬は寒いと言う)、春〜秋に作られるとは言え、米に適さない土地なのかもしれない。
 代わりに十勝が生産する穀物は『小麦』だ。十勝だけで全国の4分の1の生産量を占めているらしい(北海道全体だと全国の6割)。なので、十勝産の美味しい米(そしてそれを使った日本酒)は無くても、美味しいパンはある筈だ…と、探して行ってみたのが“麦音”というパン屋。ここが素晴らしかった(なんだかタイアップ記事みたいになってきたけど、違うので…。念のため)。

 ↓“麦音”店舗外観。外壁は板張りで円形のお洒落な建物。敷地内は庭園や小麦畑(えっ?)があり、敷地面積はナント8,000平方メートルもあるらしい。「日本一敷地面積の広いパン屋」だそうで。
麦音の店舗外観
麦音の庭園
 実は“麦音”のことを調べていて意外な事実を知ったんだけど、この麦音を運営する“満寿屋商店”が10年程前に地元の十勝産小麦100%のパンを製造販売するまで、十勝の小麦はほとんどパンに使われて無かったらしい。十勝の小麦の99%以上は製麺用に本州へ出荷されていたらしく…。この辺りの話、興味ある人はこちらをどうぞ。

 とにかく店内へ。パンのオブジェの看板を横目に売り場に入ると、天井の高い抜けた空間に沢山のパン達が並んでいる。その売り場をコの字型で囲む用に広い厨房とレジがあり、レジの裏側は庭に面したイートインできるカフェ・スペースがある。
麦音入り口
麦音店内
 様々な種類のパンで埋め尽くされた店内…というのは東京でもよくある光景だけど、僕らが喜んだのは大好きなハード系のパンの種類が豊富でとにかく安いこと。僕が特に嬉しかったのは、東京のパン屋ではあまり見かけないけど、フランスのパン屋には必ず置いてある“バゲット・トラディッション(伝統的製法のバゲット)”がここにはあったこと(名前は“とかちバゲット”だったけど)。店内の香ばしい香りと目の前のビジュアルとこの価格に勝てる訳も無く、まだお腹の中にはラーメンが残っているのを忘れれることにして、早速いくつかイートインで食べようということになった。いや、目標は1日4食以上だ。決して負けた訳じゃない。
音麦のバゲット・トラディッション
音麦のミニ・バゲット
音麦の焼きたてバゲット
音麦のメロンパン
音麦のパン
音麦の出来立てフレンチトースト
 イートインで珈琲を飲みながら買ったばかりのバゲットをかじるこの幸せ。カヌレやらカンパーニュも美味い。そしてとにかく安い! 目の前に広がる庭園も綺麗で、天気が良い日ならここでランチするのは最高だろう。
 ただ、何もかも素晴らしいと思う“音麦”の中で唯一(かなり)残念だったのが、このイートインの珈琲が激不味だったことだ。どうしたらこんなに不味い珈琲が淹れられるのだろうか?というくらい。この気持ちの良いイートインで美味しいパンを食べられるが故に、これは本当に残念だった。たまたまだろうか?(いや、それにしても程がある)
音麦のカヌレとバゲット・トラディッション
 実は、パンや建物の写真は4日目に撮ったものも混ざっている。あまりに美味くて安くて感動したもんで、帰りの機内で食べようと空港に向かう前にもう一度寄ってしまった。

 ラーメン腹の隙間を美味しいパンで更に埋めて満足して店の外に出ると、雨はようやく止んでいて、途切れた雲の間からやっと日差しが…。
音麦を出ると雨が上がっていた
続く
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