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縦サンクを見て来た。

路肩にはまだ積もった雪が少し残っていて寒かった今週の木曜日、
コッパちゃん(ウチのバイクのこと)に乗って嫁さんと茨城まで行って来た。
年末にWebで見つけて気になってた“ルノー5(サンク)”の中古車を見たかったので。
通称『縦サンク』。'72〜85年にフランスで製造された小型大衆車です。

“ルノー5”と言うと僕は“サンク・ターボ”と言う名前がかろうじて思い浮かぶ程度で、
実は今まであまり良く知らず興味も無かった車。特にベースモデルは。
なので、ルノー『5』に初代と2代目があることも今回初めて知った。
当時ルノーはモデルチェンジすると名前の番号が増える約束事があった様だけど、
(サンクの前は『4(キャトル)』。日本ではこっちの方が有名かな…)
初代サンクがベストセラーだったので2代目は名前を据え置いた…ということらしい。
マルチェロ・ガンディーニという有名デザイナーが(カウンタックやストラスをデザイン)、
初代サンクのイメージを踏襲してデザインした似て非なる車が2代目サンク。
通称“シュペール(super)サンク”。
で、初代サンクはシュペール・サンクと区別する為後から愛称が付けられた。
珍しい縦置きエンジンというところから『縦サンク』と。
(ただ、多分“縦サンク”は日本だけで通用する呼び名かも)

その『縦サンク』という車の存在を知ったのはつい1ヵ月程前なんだけど、
知った瞬間に一目惚れ…。僕だけで無く嫁さんも。
ウチの嫁さんは特に車好きという訳では無いのだけど、
“モノ”に対する見方がとても男性的と言うか“モノを愛でる”という感覚を持っていて、
1万円以上もする'54年式コルベットC1のミニカーを買ったのは僕で無く嫁さんだったり…。
なので、“ホンモノ”の車を買う予定は無いものの、僕等は車の話もよくする。

2ヵ月程前、僕が面白いと言って嫁さんに『ジャージの2人』という映画を観せたとき、
主人公(堺雅人)の父(鮎川誠)が乗るVWゴルフ2を見て、「実にイイ四角の車だ」と。
それまで嫁さんは曲面が綺麗な車ばかり気に入っていたので、ちょっと意外。
なんせ大好きな車は“ジャガーEタイプ”と言い、スバル360が可愛いと言ってたお人だ。
僕としては嫁さんの好みも含めて完全に(架空の購入)射程圏から外していた。

でも最近では中古車も少なくなったゴルフ2は概ね20〜40万円程度(勿論レストア車は別)。
今は車の必要性もお金も無いけど、“万が一”のときは(どんなときだ?)
この価格帯ならなんとか…と“想定”して画像や情報を集めてみると、
意外とコアなファンが居る様で専門ショップもあったり。なんだか凄く良い車に思えて来た。
勿論元々素性は悪く無い車だし、嫌いじゃ無かったのもあるけど。

ただ、やっぱりアレです。
平面的なデザインは今は無いカタチだしシンプルで良い内外装だなぁ〜と思うものの、
やっぱりそこはドイツの実用車。少し素っ気ない感じがする。色気が無いと言うか…。
ジャガーEタイプの様な美しさやスバル360の様な愛嬌を求めるのは違うけど、
量産大衆車とは言え、もう少し微妙なラインはあっても良い気がする。

そんな感じで他のちょっと古めの小型大衆車を思いつく限り探し始めたところ、
最初、シュペール・サンクに目が止まりました。
リアのスパっと真っ直ぐ斜めに落ちたデザインが妙に気になって…。
で、中古車サイトに並ぶ数少ないサンクを眺めていると、1台だけ印象の違う写真が。
それが『縦サンク』だった訳です。

エンスー専門の様な一風変わった欧州車しか置いてない、茨城の小さな中古車屋さんの物件。
'81年式で15万km。車体価格68万円。驚いたのはなんと30年間ワンオーナー。凄い。
そしてこの価格なら……いやいや。
縦サンク 斜め前
シュペールとは全体的なカタチは“だいたい”同じなんだけど、でも全然違う。
どちらも全体的には箱型のシンプルな形の車なんだけど、
シュペールの方は例えばリアコンビランプでRの着いた角全体を繋ぐ処理や、
とことんフラッシュサーフェイス化された現代的なボディ・デザイン。
対して縦サンクは、なんて言うか、こう〜、いかにも“鉄板”な感じ。
ただ、その“鉄板”具合はゴルフ1や旧パンダの様な平面で角ばった構成では無く、
(それはそれでその潔さが勿論彼等の魅力である訳だけど)
それぞれの面にわずかな膨らみと適度なRの繋がりがあって、
それがやり過ぎないギリギリに留めた感じが、デザイナーの好みだろうけど旨い。

縦サンクとシュペール・サンクとの間には、昔の車と今の車の境目がある様に思える。
勿論どちらも大量生産の工業製品な訳だけど、シュペールは“プレス”で“抜いた”感じで、
縦サンクは“板金”で“曲げた”感じ。あくまでイメージの話だけど。
ただ、その板金とか曲面の微妙なさじ加減がとても大事な気がしている。
こういうのってまったく感覚的な部分で車の良し悪しでは決して無いけど、
そうなって無いと許せない部分でもある。

それに塗装。この中古車の緑色も当時のフランス車特有のちょっとくすんだ色味でイイ。
このベタっとした塗装が“鉄板”具合を更に強調している気がする。
あと、ミッドセンチュリー的な応接間にある様なソファーの様なシート(生地)とか。
「車と言うよりは…」と書き掛けつつ、やっぱりどう見ても“ジドウシャ”なんだけど、
精密でよく出来ているミニカーよりミニカー的。So cute! Très joli!

僕等夫婦はそのいい感じに枯れた雰囲気を持つ“縦サンク”に一発で惚れてしまった。
既に我が家では「タテさん」と呼んでる。

まっ、そんなこんなでとにかく一度本物を見に行こう…ということになった訳です。
前出の茨城の中古車屋さん。ご夫婦(多分)2人でやっている欧州車オンリーの小さな店で、
ベルトーネX1/9やBMWのZ1とかかなり珍しい車も置いていたり…。相当好きそうな店長。
「朝、電話をした者です」と告げると「ようこそ遠いところを…」と、
奥に置いてあった縦サンクを見易い様に少し前に出してくれました。
縦サンク 斜め後
この斜めに下まで落ちたリアデザインがたまりません。
本当はもう少し引いて撮りたかったんだけど、スペースがありませんでした。
写真がワイド過ぎてヒップラインの魅力が伝わり難いかも…。

縦サンクの前後のバンパーは「世界初の樹脂バンパー」ということなんだけど、
このサンクは何故か鉄の塗装でした。経緯不明。
まぁ、鉄の方が質感的にも維持のし易さ的にも良いと思うけど、ちょっと不思議。
縦サンク 室内
リアデザインの次に惚れたこのインテリア。シートは見るからに座り心地が良さげ。
それにこのお洒落なシート生地が良い。多分当時価格的に日本仕様は良くしたんだろうなぁ。
ドアの内張りはシワが寄ってるけど張り替えれば済む話だし(それが可能という作り)、
内張り以外の部分が鉄板むき出しなのが良い(鉄板をキチンと内装として仕上げている)。
この辺りはこの時代の大衆車の特徴だけど。
縦サンク フロントシート
で、実際座ってみたらフカフカです。これはシートでは無くソファだ。
30年以上も前で15万kmも走ってるのに、ほとんどヘタりも汚れも無いのが凄い。
縦サンク ダッシュボード.jpg
なんだか懐かしい感じのダッシュボードではあるけど、この色と造形は特徴的。
今の妙に“先鋭的”なデザインと比べても分かり易くて良い。
取って付けた様なオーディオBOXと純正とは思えないアナログ時計も含めて。
そう言えばこの時計、秒針が「ヌルッ、ヌルッ」と動いて1秒を刻むのが面白かった。
ちなみに時計の後にある瓶には板金した時の塗料の残りが入ってる。タッチアップ用にと。
縦サンク リアシート
リアシートもソファ&綺麗なんだけど、さすがに足下は狭かった。
全長3505mm、全幅1525mmは今の軽自動車よりほんの少し大きい程度なのに、
縦置きのエンジンがフロントミッドシップ的に置かれたおかげでサイズの割にノーズが長く、
(だから車としてカッコいいんだけど)
室内、特にリアは狭いです。まぁ、僕等には欠点には見えない。あばたもエクボ。
もっとも隣の人と肩が触れ合うようなことは無いし、前席は特別狭いとも思わない。
適度な包まれ感と言うか、運転席から手の届く範囲にすべてがあると言うか…(笑)
縦サンク エンジンルーム
縦サンク トランクルーム
エンジンルームはさすがに綺麗とは言い難いけど、エンジン音は良かった。
全然静かなエンジンじゃ無いけど、ダダダダダダダ〜とちゃんと回っている感。
縦置きの4気筒OHV、1300ccのエンジン。ミッションは4速マニュアル。
縦置きでOHVと言うのは僕のコッパちゃんのVツインと同じでなんだか親近感。
それにしても前に開くボンネットの蓋が、昔のスポーツカーみたいでカッコいい。

実はスペアタイヤは元々エンジンルーム(写真では右上の方)に入っていた筈なんだけど、
どうも日本仕様はクーラーの補機類が追加された関係でトランクルームに移されてた。
しかしケンウッドのCDチェンジャーは今や懐かしいなぁ。
縦サンク 取扱説明書他と掲載雑誌
この縦サンク、カーマガジンのルノー5とクリオ(日本名はルーテシア)の比較記事で、
サンクの試乗車として取材された車だそうで(写真下がその誌面)。

そして驚きの'81年当時のルノー輸入代理店“キャピタル企業株式会社”社名入り取説と、
30年間分の30枚溜まった整備手帳。
普通、車好きでも30年間毎年整備手帳に記録する(つまり毎年定期点検に出す)かな?
と思って聞いたら、なんと女性オーナーだったそうで。ディーラーに任せっきりだったらしい。
今まだ50代半ばの女性らしく、つまりサンク購入時は20代前半、まだバブルの直前。
当時220万円も出して外車の小型車…しかもBMWやVWでは無く仏車のルノーを買うなんて…。
いや、仏車を選ぶにしたって2CVでも4(キャトル)でも無くこのサンクを選ぶ辺り、
相当お洒落な女性だったに違い無いと思ってます。

実は30年間もこの車に乗り続け、壊れてもいないのに売りに出されるなんて、
もしやオーナーさんは結構なお年の方で亡くなったのかな?…なんて勝手に想像してました;
実際は、最後の方は車検ごとに500kmとかしか距離が伸びなかったらしいので、
多分維持するだけになってしまったことが手放す理由になったんでしょう。
縦サンク 正面
サスのヘタリか、元々柔らか過ぎるセッティングのせいなのか分からないけど、
1人で運転席に座ると若干車体が左に沈み傾くらしい(その様子は見て無い)…。
さすがに30年以上も経った'70年代設計の“大衆車”は、
色んなところが錆びてるしドアの内張りが剥がれていたり各所グニャグニャ。
でも、そういうゆるい感じと真正面から見る微妙なタレ目の情けない顔が、
なんて言うか、こう〜、とても愛らしく…。
(真正面から撮れず微妙にタレてる目の感じが分からない…。1枚目の方が分かり易い)

30年間どんな人生(車生)を送って来たんだろうか。
出来ることなら引き継ぎたいと思うんだけど……いやいや;
持てないけど車が好き。 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

縦サンク乗れるなら絶対乗っておいたほうが良いです。普通に暮らすヒトにとってこれまた月並みな事情から今後ドンドン乗れなくなるクルマの一台ですので、死ぬほど後悔する前に是非所有するべき80'sカーだと思いますよ。ネットの恩恵で知識だけは貯まる一方ですからバランスのため自腹を切って購入してみてください。この縦サンクならタイムマシンに乗って買い物に行く感じですから価値はあるかと。M氏の間者ではありません。
5×5 | 2013/01/24 11:33 PM
>5×5さん

コメントありがとうございます。
そう「乗れるなら乗っておきたい」モンです。その方が良いかどうかは別としても。ただ、現状車を持って無いですし必要性も無いですから、もし“縦サンク”を買うときは100%趣味ということになるのですが、私も“月並みな事情”は中々無視できません。残念ながら…。
もっともそう言うつまらない話で終わってしまうのも寂しいですから、そう遠くない将来になんとかしたいとは思ってますが。
20年ほど前、ヨレヨレのシティ・ターボ2に乗っていた事があったんですが、当時お金が無くて(今もですけど)ほとんど手を掛けらないまま人に譲ってしまい、ちょっと勿体無い事をしたなぁ〜と未だに思っていて、そのリベンジもあったりします。
moriy | 2013/01/25 3:22 AM
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