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ルノー・トゥインゴ(初代)が好き。
実は一度も乗ったことが無いんだけど、2年ほど前から我が家の次期愛車の最有力候補。勿論購入予定は未定。この記事カテゴリーの名前は『持てないけど車が好き』…だ。先日ルノーの新しいルーテシアに試乗したんだけど、それにちょっと刺激されてトゥインゴのことを書きたくなり…。
とりたてて車の必要性は無い我が家で次期愛車の話が出始めたのは、数年前から夫婦の間で盛り上がり始めた北海道への移住話がきっかけだった(十勝視察旅行)。で、もし北海道に暮らすなら車は必需品だよねぇ〜と。要するに物欲話なんだけど。
まぁ、それで、必要で買うんだからとりあえず何でも良い…とは思えないのが僕ら夫婦の悪いところで、二人がこよなく愛するクロモリフレームの自転車や機械式腕時計、スナップオンのミラーツール、そしてコッパちゃんの様に、使っていても見ていても嬉しくなる様な車が欲しい。但し、可能な限り安く…と。
僕らの車の好みは基本的に旧車の部類なんだけど、日常の足にもなり格安で…となると、あまり古い車は難しいので、'90年代頃以降の“チョイ古”欧州小型車辺りが現実的になる。もう少し古い方が魅力的な車は多いのだけど…。
で、北海道と言えば雪国、雪国と言えば四駆…となるんだけど、欧州コンパクトにはAWD(4WD)車がほとんど無い。パンダ4X4くらい(僕は好きなんだけど…)。多分欧州では、小型車に四駆なんてそもそも不要で車重と価格が上がるだけでムダ…ってな感じなんだろう。小型車の売れ筋は日本と違って大抵最安グレードだし。メーカーもユーザーも合理的だ。確かに、僕も去年、数年ぶりに真冬の北海道を少しFFで走ったけど、最近のスタッドレスならほとんど問題無く走ることができる。
ただ、雪道を「走れる」か「遊べる」かで考えると、、雪の峠道でAWD車をアクセルでコントロールするのはかなり面白いのも事実で、僕自身が“北の国”でもFFで十分…と割り切れるまで時間が掛かった。勿論嫁にはその視点は全く無いけど。
あぁ、そう言えば1台だけ、嫁が大いに気に入った欧州製の小型四駆があった。旧ソ連時代から未だにロシアで作ってるラーダ・ニーヴァという車。初代パンダを丸目にして眉毛を付けた様な顔でファニーだし、何十年も変わらないカタチがイイ。
今はエンジンがフォード製で足回りや細かいところも改良されていて、それならガワは旧車でも中身に信頼性もあるし…なんて思って調べたら、新車が300万円もする。一瞬で膨らんだ期待が消えた。仮に300万円で車を選ぶとしても、ニーヴァには…。
さて、前置きが長くなったけど、兎に角'90年代以降の欧州FF小型車の中で、僕ら夫婦が“次期愛車”として合意に至ったのが『ルノー・トゥインゴ(初代)』だ。本国フランスでは'93〜'07年まで、14年間もスタイルを変えずに販売されたロングセラー・モデル。コンパクトでファニーな見た目に騙されるけど、内容は合理的で実用性が高く、欧州コンパクト・ハッチの鏡の様な車だ。
左ハンドルのみ、ミッションが5MTかeasy(イージー)という“AT未満”みたいな2ペダル車しか無かったことや、途中でインポーターが変わったり等も影響して、当時139万円(MT)という輸入車としては破格の安さだったにも関わらず、日本ではあまり売れなかったけど…。
しかしこのトゥインゴの写真を嫁に見せた瞬間、その『涙目フェイス』に一発で惚れてしまった。
↓多分、嫁の中ではトゥインゴはこんな風に見えてる(発売当時の広告用イラスト)
現在40代半ばより上の車好きなら、初代トゥインゴで思い出すのはホンダの初代トゥデイだと思う。少なくとも僕はトゥインゴの発表当時に、「トゥデイじゃん!」とツッコミを入れた一人だ(もっともルノー自身が、トゥデイをベースに…という話を否定していなかったらしいけど)。
だから嫁がいきなりトゥインゴを気に入ったのは僕にはちょっと意外だった。てっきり「なんか軽みたい…」とか言うモンだとばかり。でもそれは僕がトゥデイを知ってるから思う訳で、嫁はトゥデイを知らず(涙)、全く先入観無しにトゥインゴの良さ瞬時に感覚的に理解した訳だ。むしろ僕の方がトゥインゴを少し偏見の目で見ていたかも…。
実際のトゥインゴは、550cc軽規格だったトゥデイよりふた回りは大きく見える。直線基調で平板なトゥデイと丸みのあるトゥインゴとでは実車の印象はかなり違って、同じ“モノスペース・ボディ”でもトゥインゴの方がずっと膨よかで愛嬌がある。
(画像出典:NewCarShow.com)
と言っても、現代の目線で見ればトゥインゴは相当小さい車で、今の660cc軽規格と比べて全長は3cmしか違わないし、全高はハイト系が主流になった軽よりもずっと低い。
確かに現在の軽(特にハイトワゴン系)に乗ると室内の広さには本当に驚く。特に後席の足元はヘタな普通車とは比べものにならないほど広大だし、天井は頭上の遥か彼方にある。ただ…昔程では無いけど…やっぱり横方向が窮屈だ。
その点が横幅は5ナンバーサイズのトゥインゴは余裕がある。低い車高でも頭上に窮屈な印象は皆無。室内を広げるためにタイヤを四隅に追いやり、全高を低くし重心を下げた車体は、当然ながら走行の安定感に大きく貢献するはず。トゥインゴは実用性・快適性を損なわない範囲で最もミニマムなサイズ感じゃなかろうか?…と思ってしまう。そんな合理性に、ファニー・フェイスで可愛いだけじゃない、使い勝手の良い“道具感”があることが、トゥインゴの最大の魅力。
まぁ、まず軽サイズ枠ありきで作られた車と、必要最小限の最適化を考えて出来た車を比べてしまうのは、ちょっと日本の軽には酷な話ではあるけど。
僕がトゥインゴのエクステリア・デザインで特に気に入っているのは、ボディー下部が内側に織り込まれて丸くなっているところ。昔の車は下部がこういう形状になっていたのは普通だったんだけど、空力が低速域でも意外に燃費に効くと分かってからは、スポーツモデルじゃ無くてもアンダー・スカート付きデザインになってしまった。フロントとボディー側面が地面近くまで「ストン」と垂直に落ち(ヘタすると少し逆反りして)、最下部を「スパッ」と切る処理。僕はどうもあれが好きじゃない。なんか蓋の無い入れ物をひっくり返したみたいで…。
車内は極めてチープ。ドアパネルの一部やピラーの内側が鉄板剥き出しだし(それが良いんだけど)、デザインも質感も背伸びしたところが一切無い。“身の丈”を徹底的にデザインした感じで非常にシンプル。かつ、実用一辺倒ではなく遊び心もある。ダッシュボードのセンターに「ピョコ!」っと飛び出た半球状の赤いボタンはハザードランプのスイッチで、ちょっとXウィング・ファイターにセットされたR2-D2的(解るヤツにだけ解れば良い)。あるいはモグラ叩き。用も無いのに押したく(叩きたく)なる。
シートは('98年以降の後期型しか知らない。形状の異なる前期型のシートは未体験)座ると身体後ろ半面をシート全体で支えてくれる感じ。この辺りは良く言われるけど仏車の伝統なんだろうな。少し前に見に行った同じルノーの初期型5(サンク)も、先日試乗したばかりの現行ルーテシアも似た印象だった。
2ドアなので当然リアシートへのアクセスは4ドアに比べれば悪いんだけど、リアシート自体は前後に大きくスライドし、一番前にすればそれなりに荷物が載るし、一番後ろにすると足を悠々伸ばせるほど広い。シートアレンジもこの時代の車としては多彩。また、リアのシートバックを倒し座面全体を前席側に引き上げると、室内の後ろ半分は床から天井まで目一杯荷室に使える。昼間はちゃぶ台置いてリビング、夜は布団敷いて寝室…みたいな四畳半和室的合理主義が、なんか『ゼン』でイイ。
(画像出典:NewCarShow.com)
さて、冒頭で「一度も乗ったことが無い」と書いた。それでもきっとトゥインゴ(のMT)なら楽しいはず…と想像している。
少し前に、たまたま古い軽トラ(MT車)に乗る機会があって、マニュアル車を運転するのは10年以上振りだったので、エンストや少しギクシャクした運転になるかな?と、走り始める前は若干緊張したんだけど、最初にクラッチ繋いだ瞬間から身体が感覚を覚えていて手足が自然に動き、その後はひたすら楽しくて仕方なかった。シフトタッチが良いとか、エンジンが楽しいとか、そういうエモーショナルなのは一切無い。単純に、軽くて非力な車をマニュアルで上手く走らせる面白さだった。車を手放して以来借りる車はAT車ばかりだったので、もうすっかり忘れていた感覚。
いや、すっかり忘れていたと言うより、今ドキ2ペダルMTだってある訳で、もうクラッチ付きのMT車なんて街中で面倒臭くて、二度と欲しいなんて思わないだろうなぁ〜と思っていた。スポーツカーならともかく。だから逆に自分の気持ちが新鮮だった。
そうか、そう言えばクロモリ・ロードを買ったときも同じだ。普通に自転車に乗るだけで楽しいことに、偉く驚いた。それは3年半経った今でも同じ。楽しくてずっと乗っていたい!というんじゃなく、近所へ買い物に行くチョイ乗りでも、軽い自転車でいちいちギアを選びながら走るのが、毎回ちょっとずつ楽しい。
やっぱり“上手くクラッチを使って”ってところがミソだな。サーキットで1秒を争うなら機械の方が上手いだろうけど、楽しく乗るならクラッチが必要(渋滞の無い地域で乗る予定だし…)。
それでMT車がちょっと気になって試乗したのが、最初に少し触れたルノー・ルーテシア。今年の1月にラインナップに加わった0.9Lターボの5MT。欧州で大流行りのダウンサイジング・ターボ車なんだけど、Bセグとしては軽量(1.1t)で非力(90馬力)な車で、スポーツ・グレードでは無いのにまさかのMT仕様が日本に入って来た。勿論本国では一番の売れ筋だ。
これが流石に現代のルノー車で、とてもフレンドリーで楽しくて良かった。シフト・ストロークは若干あるものの簡単にスコスコ入るし、クラッチも軽くて操作し易い。まぁ、細かい評価は置いておいて、『軽量+非力+MT』の“ルノー車”はやっぱりイイ。ただ普通に走ってるだけで「これで十分!」感がひしひしと伝わって来る。
さて、翻って初代トゥインゴ。車重は850kg(MT )、エンジンはNAで58馬力、トルクは9.3kg。今ドキの軽ターボに軽く負けるスペックだけど、『軽量+非力+MT』の“ルノーの小型車”だ。何も問題無い…いや、きっと楽しいはず。誰か持ってる人、試乗させて頂けないだろうか?本当に。
とにかく初代トゥインゴは、全力のミニマル・デザインと全力のチープさが気持ち良く融合した、稀有な生活コンパクト・カーだなぁ〜と思う。超マジメでユーモラス。そしてキュート。いつか我が家に迎え入れられたら、きっと楽しい。
↓とりあえず、今ウチにあるのはNOREVの1:43のミニカー。“アニス・グリーン”という車体色なんだけど、嫁はこの色が良いらしい。
とりたてて車の必要性は無い我が家で次期愛車の話が出始めたのは、数年前から夫婦の間で盛り上がり始めた北海道への移住話がきっかけだった(十勝視察旅行)。で、もし北海道に暮らすなら車は必需品だよねぇ〜と。要するに物欲話なんだけど。
まぁ、それで、必要で買うんだからとりあえず何でも良い…とは思えないのが僕ら夫婦の悪いところで、二人がこよなく愛するクロモリフレームの自転車や機械式腕時計、スナップオンのミラーツール、そしてコッパちゃんの様に、使っていても見ていても嬉しくなる様な車が欲しい。但し、可能な限り安く…と。
僕らの車の好みは基本的に旧車の部類なんだけど、日常の足にもなり格安で…となると、あまり古い車は難しいので、'90年代頃以降の“チョイ古”欧州小型車辺りが現実的になる。もう少し古い方が魅力的な車は多いのだけど…。
で、北海道と言えば雪国、雪国と言えば四駆…となるんだけど、欧州コンパクトにはAWD(4WD)車がほとんど無い。パンダ4X4くらい(僕は好きなんだけど…)。多分欧州では、小型車に四駆なんてそもそも不要で車重と価格が上がるだけでムダ…ってな感じなんだろう。小型車の売れ筋は日本と違って大抵最安グレードだし。メーカーもユーザーも合理的だ。確かに、僕も去年、数年ぶりに真冬の北海道を少しFFで走ったけど、最近のスタッドレスならほとんど問題無く走ることができる。
ただ、雪道を「走れる」か「遊べる」かで考えると、、雪の峠道でAWD車をアクセルでコントロールするのはかなり面白いのも事実で、僕自身が“北の国”でもFFで十分…と割り切れるまで時間が掛かった。勿論嫁にはその視点は全く無いけど。
あぁ、そう言えば1台だけ、嫁が大いに気に入った欧州製の小型四駆があった。旧ソ連時代から未だにロシアで作ってるラーダ・ニーヴァという車。初代パンダを丸目にして眉毛を付けた様な顔でファニーだし、何十年も変わらないカタチがイイ。
今はエンジンがフォード製で足回りや細かいところも改良されていて、それならガワは旧車でも中身に信頼性もあるし…なんて思って調べたら、新車が300万円もする。一瞬で膨らんだ期待が消えた。仮に300万円で車を選ぶとしても、ニーヴァには…。
さて、前置きが長くなったけど、兎に角'90年代以降の欧州FF小型車の中で、僕ら夫婦が“次期愛車”として合意に至ったのが『ルノー・トゥインゴ(初代)』だ。本国フランスでは'93〜'07年まで、14年間もスタイルを変えずに販売されたロングセラー・モデル。コンパクトでファニーな見た目に騙されるけど、内容は合理的で実用性が高く、欧州コンパクト・ハッチの鏡の様な車だ。
左ハンドルのみ、ミッションが5MTかeasy(イージー)という“AT未満”みたいな2ペダル車しか無かったことや、途中でインポーターが変わったり等も影響して、当時139万円(MT)という輸入車としては破格の安さだったにも関わらず、日本ではあまり売れなかったけど…。
しかしこのトゥインゴの写真を嫁に見せた瞬間、その『涙目フェイス』に一発で惚れてしまった。
↓多分、嫁の中ではトゥインゴはこんな風に見えてる(発売当時の広告用イラスト)
現在40代半ばより上の車好きなら、初代トゥインゴで思い出すのはホンダの初代トゥデイだと思う。少なくとも僕はトゥインゴの発表当時に、「トゥデイじゃん!」とツッコミを入れた一人だ(もっともルノー自身が、トゥデイをベースに…という話を否定していなかったらしいけど)。
だから嫁がいきなりトゥインゴを気に入ったのは僕にはちょっと意外だった。てっきり「なんか軽みたい…」とか言うモンだとばかり。でもそれは僕がトゥデイを知ってるから思う訳で、嫁はトゥデイを知らず(涙)、全く先入観無しにトゥインゴの良さ瞬時に感覚的に理解した訳だ。むしろ僕の方がトゥインゴを少し偏見の目で見ていたかも…。
実際のトゥインゴは、550cc軽規格だったトゥデイよりふた回りは大きく見える。直線基調で平板なトゥデイと丸みのあるトゥインゴとでは実車の印象はかなり違って、同じ“モノスペース・ボディ”でもトゥインゴの方がずっと膨よかで愛嬌がある。
(画像出典:NewCarShow.com)
と言っても、現代の目線で見ればトゥインゴは相当小さい車で、今の660cc軽規格と比べて全長は3cmしか違わないし、全高はハイト系が主流になった軽よりもずっと低い。
確かに現在の軽(特にハイトワゴン系)に乗ると室内の広さには本当に驚く。特に後席の足元はヘタな普通車とは比べものにならないほど広大だし、天井は頭上の遥か彼方にある。ただ…昔程では無いけど…やっぱり横方向が窮屈だ。
その点が横幅は5ナンバーサイズのトゥインゴは余裕がある。低い車高でも頭上に窮屈な印象は皆無。室内を広げるためにタイヤを四隅に追いやり、全高を低くし重心を下げた車体は、当然ながら走行の安定感に大きく貢献するはず。トゥインゴは実用性・快適性を損なわない範囲で最もミニマムなサイズ感じゃなかろうか?…と思ってしまう。そんな合理性に、ファニー・フェイスで可愛いだけじゃない、使い勝手の良い“道具感”があることが、トゥインゴの最大の魅力。
まぁ、まず軽サイズ枠ありきで作られた車と、必要最小限の最適化を考えて出来た車を比べてしまうのは、ちょっと日本の軽には酷な話ではあるけど。
僕がトゥインゴのエクステリア・デザインで特に気に入っているのは、ボディー下部が内側に織り込まれて丸くなっているところ。昔の車は下部がこういう形状になっていたのは普通だったんだけど、空力が低速域でも意外に燃費に効くと分かってからは、スポーツモデルじゃ無くてもアンダー・スカート付きデザインになってしまった。フロントとボディー側面が地面近くまで「ストン」と垂直に落ち(ヘタすると少し逆反りして)、最下部を「スパッ」と切る処理。僕はどうもあれが好きじゃない。なんか蓋の無い入れ物をひっくり返したみたいで…。
車内は極めてチープ。ドアパネルの一部やピラーの内側が鉄板剥き出しだし(それが良いんだけど)、デザインも質感も背伸びしたところが一切無い。“身の丈”を徹底的にデザインした感じで非常にシンプル。かつ、実用一辺倒ではなく遊び心もある。ダッシュボードのセンターに「ピョコ!」っと飛び出た半球状の赤いボタンはハザードランプのスイッチで、ちょっとXウィング・ファイターにセットされたR2-D2的(解るヤツにだけ解れば良い)。あるいはモグラ叩き。用も無いのに押したく(叩きたく)なる。
シートは('98年以降の後期型しか知らない。形状の異なる前期型のシートは未体験)座ると身体後ろ半面をシート全体で支えてくれる感じ。この辺りは良く言われるけど仏車の伝統なんだろうな。少し前に見に行った同じルノーの初期型5(サンク)も、先日試乗したばかりの現行ルーテシアも似た印象だった。
2ドアなので当然リアシートへのアクセスは4ドアに比べれば悪いんだけど、リアシート自体は前後に大きくスライドし、一番前にすればそれなりに荷物が載るし、一番後ろにすると足を悠々伸ばせるほど広い。シートアレンジもこの時代の車としては多彩。また、リアのシートバックを倒し座面全体を前席側に引き上げると、室内の後ろ半分は床から天井まで目一杯荷室に使える。昼間はちゃぶ台置いてリビング、夜は布団敷いて寝室…みたいな四畳半和室的合理主義が、なんか『ゼン』でイイ。
(画像出典:NewCarShow.com)
さて、冒頭で「一度も乗ったことが無い」と書いた。それでもきっとトゥインゴ(のMT)なら楽しいはず…と想像している。
少し前に、たまたま古い軽トラ(MT車)に乗る機会があって、マニュアル車を運転するのは10年以上振りだったので、エンストや少しギクシャクした運転になるかな?と、走り始める前は若干緊張したんだけど、最初にクラッチ繋いだ瞬間から身体が感覚を覚えていて手足が自然に動き、その後はひたすら楽しくて仕方なかった。シフトタッチが良いとか、エンジンが楽しいとか、そういうエモーショナルなのは一切無い。単純に、軽くて非力な車をマニュアルで上手く走らせる面白さだった。車を手放して以来借りる車はAT車ばかりだったので、もうすっかり忘れていた感覚。
いや、すっかり忘れていたと言うより、今ドキ2ペダルMTだってある訳で、もうクラッチ付きのMT車なんて街中で面倒臭くて、二度と欲しいなんて思わないだろうなぁ〜と思っていた。スポーツカーならともかく。だから逆に自分の気持ちが新鮮だった。
そうか、そう言えばクロモリ・ロードを買ったときも同じだ。普通に自転車に乗るだけで楽しいことに、偉く驚いた。それは3年半経った今でも同じ。楽しくてずっと乗っていたい!というんじゃなく、近所へ買い物に行くチョイ乗りでも、軽い自転車でいちいちギアを選びながら走るのが、毎回ちょっとずつ楽しい。
やっぱり“上手くクラッチを使って”ってところがミソだな。サーキットで1秒を争うなら機械の方が上手いだろうけど、楽しく乗るならクラッチが必要(渋滞の無い地域で乗る予定だし…)。
それでMT車がちょっと気になって試乗したのが、最初に少し触れたルノー・ルーテシア。今年の1月にラインナップに加わった0.9Lターボの5MT。欧州で大流行りのダウンサイジング・ターボ車なんだけど、Bセグとしては軽量(1.1t)で非力(90馬力)な車で、スポーツ・グレードでは無いのにまさかのMT仕様が日本に入って来た。勿論本国では一番の売れ筋だ。
これが流石に現代のルノー車で、とてもフレンドリーで楽しくて良かった。シフト・ストロークは若干あるものの簡単にスコスコ入るし、クラッチも軽くて操作し易い。まぁ、細かい評価は置いておいて、『軽量+非力+MT』の“ルノー車”はやっぱりイイ。ただ普通に走ってるだけで「これで十分!」感がひしひしと伝わって来る。
さて、翻って初代トゥインゴ。車重は850kg(MT )、エンジンはNAで58馬力、トルクは9.3kg。今ドキの軽ターボに軽く負けるスペックだけど、『軽量+非力+MT』の“ルノーの小型車”だ。何も問題無い…いや、きっと楽しいはず。誰か持ってる人、試乗させて頂けないだろうか?本当に。
とにかく初代トゥインゴは、全力のミニマル・デザインと全力のチープさが気持ち良く融合した、稀有な生活コンパクト・カーだなぁ〜と思う。超マジメでユーモラス。そしてキュート。いつか我が家に迎え入れられたら、きっと楽しい。
↓とりあえず、今ウチにあるのはNOREVの1:43のミニカー。“アニス・グリーン”という車体色なんだけど、嫁はこの色が良いらしい。