結婚5周年記念旅行/スイス・バーゼルへ
前回はエコミュゼを出て、ボルウィラー駅で列車を待つところまで。今回やっとフランス滞在期間(途中一泊ドイツ)が終わってスイスに入国。フランス、ドイツと接するバーゼルという街に入る。
ボルウィラー駅にローカル列車が来る少し前、いつの間にかホームには何人か人が来ていた。平日の午後5時過ぎ。こんな時間にこの田舎駅から列車に乗る人は、何をしている人達だろう…。中には自転車ごと乗せる女性も。
四両編成だったかな。その真ん中付近のドアから乗ろうと止まった列車に近寄り、開いたドアの向こうに立っている人を見た瞬間ちょっとビビッた。車掌さんが2人立っている。切符を買って無い。ヤバい…。
ホームに居たほとんどの乗客がそのドアから乗り込んだので、その流れに乗って2人の車掌の横を通り過ぎドアの横の二人がけのシートに。ちょっとドキドキする。こっちに来たらなんて言おうか…。
列車はほどなく発車して、彼らが何をするのか気にして見ていたんだけど、僕らの後から乗って来た若い女性客と何やら少し長く話をしていて(軽く言い争う…までは行かないけど、若干そんな雰囲気)、僕らも彼女の次に質問責めに合うんだろうか?…という不安が増す。
ところが、その会話が終了するときに特になんてこと無く、その女性は車掌さんから切符を買っていた。いやいや買わされたとか、罰金的にお金を取られた…という雰囲気は無く。普通に挨拶をして彼女のところを2人の車掌は離れた。全然言葉が解らないと雰囲気だけで判断しがちだけど、単に車内で声が大きかっただけかもしれない。笑顔とか特に無かったけど。
さて、僕らの前に彼ら2人が来た。どうやら切符は普通に買えそうだ…と思うものの確認できた訳じゃ無いんで、やっぱりまだ少しドキドキする。
「ボン・ソワ! (^^)」とお互いニコニコして挨拶をする。ただ、僕の笑顔は若干引きつっていたいたかもしれない。英語が話せますか?と確認すると、2人の片っぽが相方の肩を叩き「こいつが英語担当!オレは仏語担当!」と、カタコトの英語でw すると肩を叩かれたもう一人が「そう、俺は仏語より英語の方が上手いから」という感じで返す。なんなんだ?このノリ? 本当に車掌だろうか?(笑) 一気に緊張がほぐれた。
特に理由は説明せず(英語で上手く説明できないだろうから、逆に混乱するとだろうと思い)「バーゼルまで行きたいんだけど」とだけ言って、切符は持って無いと伝える。すると英語スピーカーさんが、ハンディタイプの券売機(と言うのかな?)を何度かタップして料金を教えてくれる。当たり前なんだろけどカードも使えた。なんてことはない。普通にチケットが車内で買えた。これがたまたまローカル線だからなのか、実はSNCFは改札口も無いしそんなものなのかは解らない。パリの地下鉄やRERなんかの駅は改札があるから、そういう都会の路線だけなのかもしれない。もっとも地下鉄やRERで車内検札をしているのを見たこと無いけど…。
機械で切符を発券するまでに多少時間が掛かる訳だけど、その間も二人は漫才師の様に掛け合いしまくる。一人は仏語で通すんだけどもう一人が英語まじりで話すし、二人の身振り手振りも見てれば概ねなんの話かは分かる。基本的には僕らみたいな仏語が解らない外国人旅行者に応対するときの話で、それを面白い感じでやりとりする。完全に漫才だ… (^^;
プリントアウトされたチケットを貰っても、暫く二人は僕らの前を離れなずやりとりは続く。他を回らなくても良いのかな?と少し思い始めた頃、英語さんが僕に「次のトゥールーズですぐにバーゼル行きの列車が出るよ。 ホームが違うから一度エレベータに乗って隣の◯番線(忘れた)に渡って。乗り換え時間は5分くらいだから急いでね!」と教えてくれた。これを調べてくれていたんで、暫く僕らの前を離れなかった訳だ。ちょっと感動した。誰だ?フランスのサービスが悪いなんて言ったのは?(いや、まぁ、大抵はルーズだけど… (^^;)
↓自転車と一緒に乗り込んで来たおばさん。降りるまでずっとヘルメットを被っていた。
乗り換え駅のミュルーズにはほんの15分ほどで着いた。列車を降りるときにさっきの車掌達に目線で挨拶してホームに降りる。これがボルウィラーから乗って来た列車↓
さっき車掌さんが乗り継ぎの列車の発車時刻とホームを教えてくれたものの、少し大きめの駅だと出発時間とホームはよく変わるので、とりあえずエントランスホールに向う。ホールは大きな駅特有の広い空間があり、なんだか日の丸の様なデザインのガラス(?)が壁面に飾られていた。出発の時間とホームは車掌さんが教えてくれた通りで変わらずだった。慌ててホームに向かう。
ホームに着くとちょうどバーゼル行きの列車が到着した直後で、結構人が降りて来る。人が途切れるのを待って乗ると、すぐに列車は出発した。ギリギリセーフ。
車内はガラガラだった。スーツケースがあるので、荷物置き場のある車両の一番後ろに座る。
ミュルーズから国境を超えたスイスのバーゼルSNCF駅までは、約30分ほど。途中車窓からは、右手にミュルーズの空港が見える。
当初、ストラスブールに着いたときに借りたレンタカーは6日間借りっ放しにして、アルザス滞在中のドメーヌ巡りの足に使い、最後はミュルーズの空港まで来て乗り捨てようかと思っていたんだけど、レンタカー代が結構掛かることと、何より僕がワインを飲めなくなるので止めた。…ので、線路の近くに空港があることは旅行前から(地図上で)知っていたから、実際に空港が見えるかどうかをなんとなく眺めていた。
それ以外のミュルーズ〜バーゼル間の風景は、なんとなくダラダラと住宅が続いたままのあまり面白みの無い車窓だった。特に国境を超えた感じもせず、バーゼルに着く。
バーゼルのターミナル駅は3つあって、僕らがフランス側から到着したバーゼルSNCF(フランス国鉄)駅、SNCF駅と隣接するバーゼルSBB(スイス国鉄)駅、そしてバーゼル・バディッシャー駅(ドイツ鉄道/DB)がある。SNCF駅とSBB駅はほぼ同じ駅だ。
で、僕はそれを知らずにバーゼル・バディッシャー駅に近い方のホテルを予約してしまい、バーゼルSNCF/SBB駅から2.5kmほどあるホテルまでどうやって行くかを考えなければならない。
と言うか、スイスに行くのは今回が初めてで、スイスはEUに加盟していないから車内でパスポート・コントロールとかあるのかな?…と思っていたんだけど、車掌さんが検札すら来ず…で、バーゼル駅に着いてしまった。
バーゼルSNCF/SBB駅はフランス側の国境からは2km半くらい入った場所に位置していて、つまりSNCF駅の部分だけフランスということになる。まぁ、実際にはSNCF管轄というだけで、フランス領土の飛び地では無いと思うけど。車内でパスポートのチェックとか何も無かったから、駅に入管とかあるのかな?…と想像しつつ列車を降りる。
ホームに降りると車両は前から3両目だったんだけど、後ろを見たら結構長い編成だった。しかし降りる人はまばら。
ホームの上を見上げると、有名な『スイス国鉄の時計』が。このデザインは腕時計にも使われているので、結構見たことがある人は多いと思うし、ちょっとした鉄オタには有名なデザイン。流石時計の国…の国鉄。
列車の先頭まで来ると、3人の鉄道員。多分車掌さんだと思うんだけど、赤毛でミニスカートの制服の女性が異国情緒を醸し出している。
ホームの先は、遮断機が降りていたので、多分この先がスイス国鉄(SBB)駅ということだと思う。しかし誰も見ていないし、これは単なる仕切りにしかならず国を分けている様には思えない。これなら国境線が引いてあれば良いんじゃないかな…とか思ったり。
その、遮断機の真横に、大きく立派な木製のドアがある。ドアのガラスには『SCHWEIZ/SUISSE』とドイツ語とフランス語で“スイス”と書かれていて、「あぁ、ここから先はスイスか…」という雰囲気。
↑この、木のドアを入ると、すぐ横に税関らしく細い通路があり、その先には軍服を着た怖そうなお兄さんが立っている(自動小銃持ってた気がするんだけどよく覚えて無い。写真は撮れなかった…と言うか撮ってはいけない様な気がした)。やっぱりパスポートをチェックするのかな…と思い、二人でゴソゴソとスーツケースの中から取り出し彼の方に歩いて行き、「パスポートチェックはどこで?」という様にゼスチャーしたら、ニコリともせず「いけいけ」という感じで顎を出口の方に。なんだ。パスポート・コントロールは無いのか。じゃ、このドアは一体何のために?
その、兵士が顎で指した自動ドアを抜けると少し広い空間が広がっていて、振り返ると『FRANCE』と書かれた入り口ドアもあった(個人的には最後の“C”と“E”のスペースだけが妙に空き気味なのが気になる)。きっと入管としてちゃんと機能していた時代もあったんだろうな。
その空間を抜けて駅舎の中心らしき方に進むと、もっと広い空間が現れた。こちらがSBBバーゼル駅のエントランス。ヨーロッパの大きなターミナル駅らしく、立派な雰囲気。
表から見るとこんな駅舎↓
駅舎の外に出ると、そこはトラム(路面電車)が行き交う広場になっていて、集電用の架線が縦横無尽に張り巡らされていた。
駅前の路上は路面電車の線路が方々から集まり、あちこちで交差している。ちょっとした混沌状態。緑色がバーゼルの路面電車のカラーらしい。
さてさて。到着駅の場所を間違えて予約した2km半先にあるホテルまで、本当はトラムに乗って行きたかったんだけど、まず両替をしていないのでスイスフランを持っていないことと、どうやって切符を買うのか?どうやって乗るのか?を調べて無かったし、まぁ、急いで無いし街中を見ることもできるし歩いて行こう…と、スーツケースをゴロゴロしながらスマホで地図を確認しつつ歩き始める。
街中に入っても、ありとあらゆる道にトラムが走っているイメージ。なので上は架線だらけ。日本の景観の悪さの象徴的なひとつとして“電線”というのがあるけど、なぜかトラムの架線がある風景には景観の悪さを感じない…どころか、むしろ趣があるのが不思議。
バーゼルのライン川よりSBB駅がある側は、決して平坦な街では無い…と言うか、結構アップダウンがあるんだけど、自転車で移動している人も多かった。街が小さいからだろうけど。
駅から10分ほど歩くと、大きな橋に差し掛かった。バーゼルの街中を横切る”ライン川”に架かる橋だ。トラムもここを渡る。
橋を渡っていたら、そこそこ飛ばして走っていたシトロエンの2CV。この写真はブレブレになったんで分からないけど、かなり綺麗な車体だった。
↓コルマールの街中に続き、ここでも『Europe』の道しるべ。どこだろう?ヨーロッパ。
橋を渡って更に10分ほど歩くと、旧市街地の雰囲気からは相当異質な建物が見える(引きで撮れなかったんだけど)。バーゼルで毎年3月頃に開かれる『バーゼル・ワールド』という、世界一の規模の宝飾と時計のフェアは、この建物(バーゼル・メッセ)で行われる。今晩泊まるホテルは、この建物と道を挟んだ向かいにある。
メッセの横の道に、英国車のMG-B GTが停まっていた。日本でたまに見るMG-Bは、オープン・カーばかりなんだけど、このGTはハッチバックスタイルで、オープンより実用性もボディー剛性もある上、カッコイイ。いっときちょっと欲しくなった車種で思わず写真を撮る。綺麗な個体。色もイイ。前からの写真はちょっとブレてたのに気づかなかったけど…。
↓これ、翌朝撮った写真だけど、メッセとホテルの位置関係(左側がバーゼルメッセ、右がホテル)。ホテルは“easyHotel.com”と言う名前。多分、LCCのeasy jetの系列だと思う。色も一緒だし。物価の高いスイスの都市部で、とりあえず一番安い部類で選んだ宿。
それにしても、写真撮れば良かったなぁ。ホテルの受付は、ほぼ雑居ビルの裏口の管理人室の窓口という雰囲気で、まるで“ホテル感”が無い。保安の為か(スイスって治安が思っているより悪いのか、自己防衛のマインドが高い国だからなのか…は不明。多分後者)窓口は格子状になってたりして、まるで刑務所に入ってる誰かに接見しに行く雰囲気。でも、窓口の人は愛想良かったけど。
チェックインしたら、トラムの2日券を貰った。もう今日は外に出る気力が無いから「(予約時にくれたら駅から乗ってこれたのに〜!)」と思いつつ、まぁ、でもこれで明日はトラムに乗れる。
部屋は2Fだったんだけど、この建物にはエレベータが無かった。重いスーツケースを2Fまで引き上げる。勿論嫁さんの分と2つとも僕がw
部屋のドアを開けて驚いた! 狭いっ! そしてこの配色! カラオケBOXかよ!w
写真はこれも翌朝撮ったもので明るいけど、部屋に入ったときには既に外は暗くて余計に狭さを感じた。その上、これは朝になってから気づいたんだけど、2Fなんだけど通りの角に面していて外から室内が丸見えで、レースのカーテンが無いもんだから朝になってもカーテンを開けられず、部屋を出るまで暗いままだった。これで1泊辺りの価格はこの旅行中最高の部類。『スイスは物価が高い』というイメージが一発で刻まれた。まぁ、清潔感はあるけど。
シャワールームもこの旅最小だった。綺麗なんだけどねぇ。
部屋があまりに狭いもんで、部屋で食べようと思っていた夕食のスペースすら確保するのに苦労した。結局ベッドマットを若干ズラして、その隙間にベッドの横にあった小さな台を置き、なんとか“食卓”を作った。
今晩の夕食は、コルマールの“モノプリ”で買ったワインやらチーズやらとお惣菜に少し残っていたバゲッド。暖かいものがちょっと欲しい感じはしたけど、とりあえずどれも美味しかった。
歩き疲れた体にアルコールと満腹感は、めちゃくちゃ良く効く睡眠剤だ。そのままの状態でベッドの上でダウンして、旅行8日目が終わった。
続く。
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