25年程前の某美術大学在籍時、2年生の必修科目に“写真”の授業がありました。
ピンホールカメラを自作し、写真が「写る」仕組みから始め、
一眼レフのマニュアル機(当然デジタルカメラなんて無い時代)で、
白黒写真を撮り、現像し、紙焼き(プリント)するという一連の作業をこなし、
最終的には何らかのテーマを決めて作品を『撮る』という1年でした。
夏休みには大量の課題が出るのですが、その中で、
『知らない人を100人(だったかとにかく沢山)撮る』というものもあり、
当時は都内至るところで某美大の学生証を見せられ、
「学校の課題なので写真を撮らせてください!m(_"_)m』
というシチュエーションがあった筈です。
で、課題を撮るために一眼レフのマニュアル機が必要だったので、
手元にカメラの無かった僕は銀座の中古カメラ店で一眼レフを買いました。
1971年発売の、当時のプロ用機だった初代『Canon F-1』です。
(買った個体が何年製か解りませんが初期モデルです)
また、レンズは1本しか買えないけど色々欲しい…という単純な理由で、
『New FD 35-105mm/f3.5』というズームレンズも同時に。
初代F-1発売当初から15年、既に『New F-1』が出て5年は経っていたので、
確か両方合わせても4〜5万円くらいだったと思います。
しかし貧乏学生にはそれなりに高い障壁で、
「授業で使うから」と親に強制的に援助を迫りなんとか工面が付いたときは、
やっぱり名機を手にした嬉しさがありました。
これです↓

しかし、これは重かった。本体とレンズ合わせて1.5kg近くありました。
それでも当時は随分いろんなところに持って歩いていましたが。
その後、その重さ以上にマニュアルしか使えない煩わしさが嫌になり、
社会人2年目頃には同じCanonのEOS10へ乗換えて、
F-1も35-105のレンズ(EOSと共用出来ず)もお蔵入りとなり、
デジタル一眼への移行のタイミングでCanonからNikonへと鞍替えし、
そのデジイチもD70→D7000へと2世代目になりました。
持って歩く煩わしさは結局未だにあまり解消していませんが、
コンデジやiPhoneで撮る写真との違いもあり、一眼レフを使い続けています。
ただ、デジタルやオートはすべてにおいて楽で安くコントロール出来るが故に、
(仕事や記録で使うにはまったくありがたい話ですけど…)
やっていることのリアルさやワンショットの重みが希薄になったことや、
(もっともこれは自分自身の意識や姿勢の問題かもしれません)
もっと単純に電気を使わないメカニカルさへの愛着をより感じる様になり、
(これは僕の中ではカメラに限った話では無いんですが)
ここ数年は、結局ずっと手放さなかったF-1の存在が大きくなってきて、
(仕舞っていたのを出してみたりして)
これを復活させて白黒写真でも撮ろうかと随分考えていました。
で、ついに数日前、ようやく踏ん切りがついてポチりました。↓

F-1復活を考え初めてからずっと引っ掛かっていたのですが、
わざわざ白黒フィルムで写真を撮るという訳ですから、それ自体に『制約』があり、
便利さ故に重くて暗くて画質の悪いズームレンズを使うのはちょっと違うぞと。
近くに見せたければ歩いて寄り、広く見せたければ歩いて引けば良い訳です。
と言うより、『制約』の中で考える方が面白い(かもしれない)。
それより何より、持って歩くには小さくて軽い方がやっぱり良いです。
まぁ、レンズ選びは何を撮るのかで違ってくる訳ですけど、
特にテーマは無いので室内でも使い易い広角の単焦点レンズにしました。
ズームの35mm側でも室内では少し狭いと感じていたので28mm以下で考え、
中古価格の安いf値が2.8の24mmと28mmで迷いましたが、
最終的には画角の狭さより歪みや距離感が気になる気がして28mmに決めました。
当時、新品で3.5万円したレンズも今ではヤフオクの中古で6.5千円。
手元に来たレンズは綺麗なモンでした(F-1の方がよっぽど傷だらけです)。
さて、F-1に付けて持ってみると、これが中々良い感じです。
昔は少し長目のレンズじゃ無いとF-1のボディに似合わない気がしてましたが、
今ではこちらのレンズがちょこんとした見た目の方がしっくり来ます。
手の中に納まる感覚の大きさで、なんにしても劇的に軽いのが良いです。
(どっちも以前と比べて…ですが)
しかし、この大昔の一眼レフの佇まいはたまらないです。
オール金属ボディの質感とか直線的なデザインとか何も無いシンプルさとか。
Nikonもそうですけど、Canonも昔のこのロゴが良いですしね。

今朝、レンズが手元に届いてからF-1に付けて以来、
フィルムの巻き上げレバーを巻く操作をするときの「ジーッコ」という音と、
機械式シャッターの若干金属質な「カッシャッ!」という響きが心地良くて、
空シャッターばかり切っているんですが、
なんだか
先日買ったコルト・ガバメントを撃つ感覚に似ている様な…(笑)